
こんにちは、Slow Daysです。
2024年の夏は記録的な猛暑となり、全国で97,578人が熱中症で救急搬送されました。これは統計開始以来、最も多い人数です。
さらに2025年6月からは、熱中症対策が法律で義務化されることになりました。今回は、最新の統計と法改正のポイント、そして職場で今すぐできる対策について、わかりやすくご紹介します。
熱中症の搬送者が過去最多に

総務省消防庁 令和6年(5月~9月)の熱中症による救急搬送状況(https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/items/r6/heatstroke_nenpou_r6.pdf)より作成
2024年5〜9月の救急搬送者数は97,578人。特に以下の傾向が目立ちました。
高齢者が約6割(55,966人)
軽症者が大半だが、120人が命を落とす結果に
搬送場所は「住居(38%)」のほか、「道路(19%)」「仕事場(10.1%)」など職場も多く含まれます
なぜ法改正が行われたのか?
熱中症による職場の死亡災害は他の労働災害の5〜6倍の致死率と言われています。原因の多くは「初期症状の見逃し」「対応の遅れ」。
そこで、2025年6月1日より、熱中症対策が労働安全衛生規則で義務化されることになりました。
2025年の法改正ポイント
改正項目 | 内容 |
---|---|
🔔 報告体制の整備 | 熱中症の疑いがあった際、報告できる仕組みを整える(誰に連絡するか明確に) |
📋 応急処置のマニュアル作成 | 冷却・作業中断・医療搬送などのフローを明文化・周知 |
🌡 WBGT値(暑さ指数)の確認 | WBGT28℃以上や気温31℃以上の作業は管理対象に |
🚨 対象者の範囲拡大 | 労働者だけでなく、同じ作業環境にいる人全員が対象に |
⚖ 罰則の導入 | 違反すると懲役または罰金が科されることも |
職場で今すぐできる8つの対策
① WBGT値の測定と記録
→ 暑さ指数を把握してリスク判断
② 作業環境の改善
→ 日陰やミスト、送風機、冷房の設置
③ 作業時間と順化の調整
→ 30分作業+10分休憩、初日は短時間から慣らす
④ 水分・塩分のこまめな補給
→ 自覚症状がなくても飲む!が合言葉
⑤ 健康チェック
→ 朝礼などで体調や睡眠・飲酒状況を確認
⑥ 通報・連絡体制の整備
→ 異変に気づいたら、すぐに上司・管理者へ
⑦ 応急処置の流れを確認
→作業中断→冷却→医療機関への搬送
⑧ 教育・ポスターでの周知
→ 年1回以上の教育と、見える場所への掲示が効果的
最後に:あなたの「気づき」が命を守ります
熱中症は、「気づく→止める→助ける」で防げる災害です。
「なんか様子が変…」と思ったら、声をかける
「今日は暑いな」と感じたら、休憩や水分を意識
「法改正がある」ことを知って、自分の職場でも何ができるか考えてみる
法律が変わるということは、社会全体での対応が求められているサインです。みなさんもぜひ、できることから始めてみてくださいね。
参考資料
- 消防庁『令和6年 熱中症による救急搬送状況』(2024年10月29日発表)
- 厚生労働省『職場における熱中症対策の強化について』(令和7年施行)
- 労働安全衛生規則 第612条の2